周りと違うと、世界では疎外、イジメの対象になりやすい。
本編では小学生の頃、耳に障害をもつ少女をイジメた主人公が、今度は周りからイジメられて
心を病んだまま高校生になり自殺まで考えるが、もう一度少女と会い、心の病を治す話しである。
イジメは心に重くのしかかるテーマだが、見過ごす事の出来ない普遍的なテーマではある。
本作は障害者を扱っている点で、とてつもなく心に重い。
人間としてのタブーを超えた事による主人公の苦しみ、心の救済を求めた贖罪の話しだが、淡々と続く日常が現実的で、苦しみから解放された主人公達の続きを観たいと思わせてくれる。
Netflixで配信中(2020/04/15)・・・配信が終了しました(2020/05/21)
聲の形 コミック 全7巻完結セット (週刊少年マガジンKC)
小学生の頃は、感情が優先して良く考えない
主人公石田将也が通う小学校に転校してきた西宮硝子。
彼女は耳に障害を持ち、補聴器をつけてもほとんど聞こえないので、発音も上手くいかない。
そんな硝子は、筆記帳でクラスメイトとコミニュケーションを取ろうと頑張る。
最初は、周りの目も同情からか友好的ではあったが、徐々に彼女を疎外し始める。
将也はそんな硝子に苛立ちが隠せなくなったのかキツク接するようになる。
硝子がつけている補聴器を無理やり取り、窓から投げ捨てたり、イタズラをするようになる。
硝子の母親は硝子自身が問題を解決する事を願ったが、補聴器8個目が限界だった。
クラスでの問題話し合いの場で、将也はクラスメイトから責められ、その日からイジメる側からイジメられる側へと立場が変わっていく。
クラスメイトは自分の罪悪感を軽減したかったのか、将也一人に罪を着せるような形となった。
それから、将也は嫌がらせを受けるようになったが、毎朝硝子が自分の机を拭いている姿に腹を立て、彼女とケンカをする。
硝子が転校した後に、将也の机には落書きが書かれており、硝子が毎朝消していた事が判明するのだが、硝子に声をかけようにも彼女はもういない。
罪悪感を抱えて生きた 将也は自殺を決意する
中学校に進学しても、元クラスメイトの嫌がらせにより友人は出来なかった。
それは、高校に進学しても同じだった.
昔、障害者の女の子をイジメていた事で、人間性の全てを全否定されたのだ。
将也は少年の頃の罪の意識を背負ったまま、耐えきれなくなって自殺の道を選んだ。
幼い頃、硝子の補聴器の弁償代として母が立て替えた170万を、母の枕元に置き、硝子が通う手話教室へ向かう。
硝子がクラスメイトと仲良くなる為に用意した筆記帳。
将也が硝子から取り上げ、池に放り投げ、その数ヵ月後かに自分が池に落ち偶然見つけた筆記帳。
罪の意識から手話を覚えた将也が、手話で硝子に忘れものと言って届ける。
この世を去る前に、心のけじめをつける為に硝子に会いたかったのだが、幸いな事に逢った事で、自殺の決意は鈍ってしまった。
硝子は最初逃げ出したが、筆記帳を届けて手話まで覚えた将也に感動したのか、心を開き始める。
小学校の同級生達と会う硝子 将也が架け橋となる
小学校の頃、硝子を理解しようと手話を勉強してた佐原の連絡先が知りたいのを知った将也は、硝子と共に佐原を訪ねる。
佐原は周りから陰口をたたかれるのが嫌だったのか、硝子を守り切れなかった。
そして、佐原は今も変わらないのだろう。
この作品で幼少の頃から変わったのは将也だけかも知れない。
将也も苦しんで大人になったのだ。
当時、将也に秘かに恋心を抱いていた上野は、将也がイジメで追及された時、彼をかばわずにいた事を後悔していたが、覆水盆に返らずで彼女の想いが叶うことはなく、硝子が転入する前が懐かしくて、硝子に恨みを抱いたままである。
将也に恋心を抱く硝子
硝子は子供のころのいじめっ子だった将也が、びっくりするぐらい大人しく優しくなっている所に惚れたのか、恋心を自らの言葉で告白するか、上手く伝わらない。
小学校時代のクラスメイトと再会できたが、当時の事が皆の心のしこりになっているのか、ぎこちないフインキになってしまい上手くいかない。
なんとか硝子を元気づけたい将也は、硝子を夏休みの間中、遊びに誘う。
硝子は母親の誕生日にケーキを作るのだが、将也にも手伝ってもらう。
将也を子供の頃から敵だと認識している硝子の母親と食卓を囲んで祝う将也。
硝子の母親は将也がいる事に憮然として硝子に詰め寄るが、硝子の妹のゆづるにいさめられる。
姉想いのゆづるは、硝子と将也を繋ぐ重要な役割をこなしているが、全ては自分の事より姉の事を大事に考えた上での行動で、やがて本人も登校拒否を克服し、自らの道を進むようになる。
姉想いの素敵な妹である。
運命の花火大会
西宮家と花火大会に出かける事になった将也。
硝子の母の敵意は少し和らいだようである。
花火の途中、硝子は勉強と言って先に自宅へ帰る。
ゆづるから、自宅にカメラ取りに行って欲しいと頼まれた将也は、西宮の家へ、先に帰った硝子にも会いに向かう。
ここで愛が急展開し、二人の仲が急速に進展するのはお約束・・・。
と思いきや、将也が家に入ると浴衣のままベランダの縁に立つ硝子。
花火を観たままベランダから身を投げ出す・・・
とっさに駆け寄り手を伸ばす将也、二人とも落ちそうになるところを必死で硝子を引っ張り上げようとする将也。
硝子は、ベランダの柵を持って何とか体制を整えるが、渾身の力を振り絞って硝子を引っ張り上げた将也は反動でベランダから落ちてしまう。
聲の形 重荷は解けて これから前を向いて
病院に搬送された将也は、面会謝絶の状態だったが、何とか一命をとりとめる。
硝子の母と妹のゆづるは、硝子を助けた時にベランダから落ちた将也の母に、土下座をして許しを請う。
将也の母は即座に許し、頭を上げて欲しいと懇願する。
硝子に恨みを持つ上野は、周りを壊していく硝子に突っかかる・・・。
いつもと違う夜の橋は 二人の素直な心を演出する。
自分が、将也が築き上げてきたものを壊してきた事を自覚した硝子は、もう一度それを取り戻したいと願う。
入院中の将也といつもの橋で会った硝子に、将也は昔のことをちゃんと謝りたかった。
君ともっと話しをしたかったと告げる。
将也は硝子を傷つけて最悪の結果を選択させてしまったと思い。
硝子は自分が昔と変われなかったからその選択を選んでしまった、自分のせいだと…。
硝子は泣いて謝る。
退院後の初めての登校は 学園祭・・・皆の顔をまともにみれるようになった
退院後、初めての登校が学園祭になった将也は、硝子と共に学校へ行くが、他の学生の顔をまともに見れず、下を向いて歩いているのが楽だった。
小学校の時のクラスメート達と会い、学園祭を楽しむうちに周りの声がクリアに聞こえ、顔もハッキリと見ることが出来、皆の声が乾いていた心に響き始め、聲となって形となってきた。
硝子は将也が築き上げてきたものを壊してきた、取り戻したいと言っていたが、新たな形を持って取り戻せたと思いたい。
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