言の葉の庭…ロマンチックに切なく、良く考えると気持ち悪い恋の物語

言の葉の庭 雨の中の女性 ドラマ・映画

 

相変わらずの凄まじい映像美とナイーブな恋愛観を描写する新海監督の作品…。

誰もが15歳くらいの頃は大人の女性への憧れがあり、

少し年上なだけなのに、包み込んでくれる母性と、落ち着きのある態度・感性を求めていたりする。

 

本作『言の葉の庭』では、大人の女性に憧れた少年が、そんな憧れを追い求めた物語である。

 

Amazonプライムビデオで視聴可能(2003/2/3 現在)プライム対象作品


言の葉の庭

 

 

空の匂いを運ぶ雨が 必然的な出会いを運んできた

今日は気分が乗らない、そんな日は回り道をして息抜きをしてみる。

そんな気分転換。天候が人の心に与える影響は計り知れない・・・

 

主人公の少年は、雨の日の朝は学校をさぼって、公園でスケッチをして過ごす。

主人公の女性は、公園で酒を飲み、心を癒す。

 

たまたま鉢合わせした男女は、人生を上手く歩く為にお互いを必要とし、

そして心のバランスを取り戻す。

 

【アニメ映画】は、Amazonプライムで鑑賞可能だ。2020/1/16現在

【小説】は詳細な部分やその後も補完されているので、アニメを観られた後で鑑賞をオススメする。


小説 言の葉の庭 (角川文庫)

 

雨が降ったら君はここに留まってくれるだろうか?

主人公のタカオは雨の朝、公園で人生を放棄したかのような女性、雪野と出会う。

若い女性でありながら、スーツを着て、朝っぱらから酒を飲み公園のベンチで時を過ごすなど、まともな考えの女性とは思えなかった。

雪野はタカオが学生でありながら、学校をサボって公園でスケッチをしているのを、自分と同じように観ていたのかもしれない。
そんな二人は、梅雨時期という事もあって、頻繁に公園で顔を合わす事になる。
タカオは子供の頃、家族で母に贈ったプレゼントの靴。
それを受け取った母の喜びが忘れられなかったのか、幼心に靴職人を目指すようになる。
もしくは、その頃の家族が忘れられないのか・・・
スケッチに靴のデザインを書き綴り、雪野にもモデルにもなってもらい、夢を雪野に語る。
雪野はスーツを着て、駅のホームで電車に乗ろうとするが、乗ることが出来ず、公園でタカオと過ごす日々が続いた。

 雨なんか降らなくてもここにいるよ

梅雨が終わり、タカオは公園には姿を見せなくなる。

うまく人生を歩けなくなった雪野は、教師を辞める意思を固め、晴天続く公園でタカオを待つ日々が続く。

 

夏休みをバイトに明け暮れ、結局タカオと雪野は夏休みが明けた学校で出くわす事になる。

 

雪野は生徒の嫌がらせで学校に出てこれなくなり、教師を辞めることになる。

タカオは雪野と、またあの公園で晴れた日に会い、初日に雪野が呟いた短歌への返し歌を贈る。

 

雨が降ったら君はここに留まってくれるだろうか?

雨なんか降らなくてもここにいるよ

 

タカオは雪野へ想いを打ち明け、雪野はタカオへ感謝の言葉を贈る。

雪野は故郷へ帰り、また教職に就き、タカオは雪野に贈る靴を作り続ける。

 

温かさを求める雪が 願いと想いを運んできた

雪が降る公園のベンチでタカオは、雪野からの手紙を読む。

そこには、靴が合わなくなっても上手く歩けるようになった雪野の姿が垣間見える。

 

雪野に贈る靴を傍らに手紙を読んだ後、自分も、もう少し上手く歩けるようになれば、

会いに行こうと心に誓い、雪景色の公園を後にする。

 

切ない物語と感じるか・気持ち悪いと感じるか

筆者は、感動まではしないけど、切なくて心に残る作品だと思いました。

 

気持ち悪いと感じる方は、恐らく社会一般的な年齢差における恋愛への考え方でしょう。

 

27歳の女教師 と 15歳の少年 12歳の年齢差からすると

27歳のサラリーマンと15歳の少女 と置き換える事が出来ます。

 

まだ12歳差なら許容範囲だと思うのですが、親子ぐらい違ったら、確かに気持ち悪いですが・・・

 

小説版では、さらに視点を色々変え、この物語に深みを持たせています。

その後の雪野とタカオが再会するところまで描いています。

 

『秒速5センチメートル』と同じく、その先はそれぞれの想像にゆだねた方が良いかもしれません。

一番知りたいその先を、休日夢想してみるのは素敵な事だと思います。

 


小説 言の葉の庭 (角川文庫)

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